第44回 日本美容皮膚科学会総会に出席しました ― 仙台で考えた「みんなキレイに幸せに」
- 2026年8月5日
- アンチエイジング・予防医療,五藤良将
五良会クリニック白金高輪 2F美容皮膚科のアンチエイジング外来では、日本抗加齢医学会専門医である理事長・五藤良将のもと、見た目の若々しさだけでなく「内側からの抗加齢」を目指す包括的な医療をご提供しています。このたび、2026年8月1日(土)・2日(日)に仙台で開催された「第44回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会」に出席してまいりましたので、学んできた内容と、当院の診療にどう反映していくのかをご報告いたします。
美容医療は「新しい機器」や「新しい薬剤」の話題が先行しがちな領域です。しかし患者さまにとって本当に大切なのは、その治療にどれだけの根拠があり、どんなリスクがあり、自分に必要かどうかです。学会は、その判断材料を専門医同士が持ち寄り、検証し合う場です。当院が毎年こうした学術集会に足を運ぶのは、そのためです。
目次
1. 第44回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会について
日本美容皮膚科学会は、美容皮膚科領域における学術研究と、その適正な普及を目的とする学会です。第44回となる今回の総会・学術大会は、会頭に菊地克子先生(仙台たいはく皮膚科クリニック 院長)を迎え、宮城県仙台市で開催されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学会名 | 第44回 日本美容皮膚科学会総会・学術大会 |
| テーマ | みんなキレイに幸せに |
| 会期 | 2026年8月1日(土)・2日(日) |
| 会場 | ウェスティンホテル仙台/仙台国際ホテル/江陽グランドホテル(宮城県仙台市) |
| 会頭 | 菊地 克子 先生(仙台たいはく皮膚科クリニック 院長) |
「みんなキレイに幸せに」というテーマは、単に見た目を整えるということではなく、美容医療が生活の質(QOL)や心の健康に果たす役割を正面から扱う、という宣言だと受け止めました。実際、今回のプログラムには「がん治療と美容」「化粧の心理学」といった、審美だけでは語れないテーマが並んでいました。
会場に掲げられた第44回日本美容皮膚科学会総会・学術大会のポスター。テーマは「みんなキレイに幸せに」。
2. なぜ自由診療こそ「学会」が必要なのか
美容医療の多くは自由診療(自費診療)です。保険診療のように国が定めた統一の点数・適応が存在しないぶん、施設ごとに使う機器も、薬剤の使い方も、価格も異なります。この自由度は患者さまに合わせた治療設計を可能にする一方で、「誰がその妥当性を確かめるのか」という問題を常に抱えています。
当院が学会参加を重視する3つの理由
- 適応と限界を知るため:ある治療が「効く方」と「効きにくい方」を、症例報告と議論から具体的に学べます。
- 合併症と安全対策を知るため:うまくいった症例よりも、トラブル症例の共有こそが安全な診療をつくります。今回も「医療安全」のシンポジウムが独立して組まれていました。
- 診療指針を確認するため:「美容医療診療指針」に関するセッションが設けられ、業界全体で基準を揃えていく流れが年々強まっています。
⚠ クリニック選びで確認していただきたいこと
- その治療の合併症・ダウンタイム・受けられない条件を、事前に説明してくれるか
- 効果に個人差があることを明示しているか(「必ず」「絶対」といった説明をしていないか)
- 使用している機器・薬剤の名称を具体的に開示しているか
- 合わなかったとき、中止・変更の選択肢が用意されているか
3. プログラムから読み解く、いまの美容医療 5つの潮流
今回のプログラム構成そのものが、いまの美容皮膚科がどこに関心を向けているかを示していました。理事長として特に注目した5つの流れを挙げます。
| 潮流 | 関連セッション | 当院からの視点 |
|---|---|---|
| 機器治療の 使い分けの精緻化 |
シンポジウム「機器」 「しわたるみadvance」 |
1台で万能な機器はなく、深さ・層ごとに使い分けるのが前提という考え方が定着しています。 |
| 脱毛症・育毛の 再評価 |
シンポジウム「脱毛症・育毛」 「脱毛」 |
とくに女性の薄毛は、原因の見極めが治療成績を大きく左右する領域です。 |
| 再生医療の 位置づけ整理 |
シンポジウム「再生医療」 | 法規制と有効性の両面から、どこまでが確立した治療かを冷静に線引きする議論が進んでいます。 |
| 安全性と 診療指針 |
シンポジウム「医療安全」 「美容医療診療指針」 |
合併症対応の標準化は、患者さまが施設を選ぶ際の最重要の判断軸になります。 |
| 美容医療の 対象の広がり |
特別シンポジウム「がん治療と美容」 特別講演「化粧の心理学」 シンポジウム「男性美容」 |
美容医療は「若い女性のためのもの」ではなくなりました。療養中の方、男性、シニア世代へと対象が広がっています。 |
とくに印象的だったのは、「がん治療と美容」が特別シンポジウムとして最も大きな会場で組まれていたことです。抗がん剤治療に伴う脱毛・爪の変化・皮膚障害に対するケア(アピアランスケア)は、治療を続けるための力になります。「見た目を整えること」が医療の一部として正面から議論される時代になったのだと感じました。
4. 特別講演「セノリティクス」と抗加齢医学のいま
今回の特別講演のひとつが、「セノリティクス(PAI-1阻害薬)による長寿医療の実現」でした。日本抗加齢医学会専門医として、最も関心をもって聴きたかった演題です。
4-1. 老化細胞(senescent cell)とは
私たちの体の細胞は、ダメージが蓄積すると分裂を止めます。この状態を医学的には「細胞老化(cellular senescence)」、その細胞を「老化細胞」と呼びます。厄介なのは、老化細胞は死なずに組織に居座り、炎症性の物質を出し続けることです。これをSASP(細胞老化随伴分泌現象)といい、周囲の正常な細胞まで老化させ、慢性的な炎症をつくると考えられています。
老化研究の代表的な総説であるLópez-Otínらの「Hallmarks of Aging」(Cell誌 2013年、2023年改訂)でも、細胞老化は老化を構成する中心的な特徴のひとつとして挙げられています。
4-2. セノリティクスという発想
セノリティクス(senolytics)とは、この老化細胞を選択的に取り除く、あるいはその働きを抑えることを狙った薬剤・治療戦略の総称です。講演で取り上げられたPAI-1(プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1)は、血栓の溶けにくさに関わるタンパク質として知られてきましたが、近年は老化や線維化との関連が注目されている分子です。
⚠ 誤解のないようにお伝えします
セノリティクスは、現時点では研究段階の領域です。「飲めば老化が止まる薬」が実用化されているわけではありません。当院でもセノリティクス薬の処方は行っておりません。いま私たちにできる抗加齢医療は、老化を加速させる要因(糖化・酸化・栄養の偏り・睡眠不足)を一つずつ減らしていくことであり、その積み重ねが最も確かな方法だと考えています。学会で最先端を学ぶことと、日々の診療で堅実に積み上げることは、矛盾しません。
5. 当院2Fアンチエイジング外来への反映
学会で得た視点を、当院の外来では次の3つの経路として整理し、患者さまお一人おひとりに合わせて組み立てています。
| 経路 | 概要 | 当院での主な対策 |
|---|---|---|
| 糖化(AGEs) | 余分な糖がタンパク質と結びつき、コラーゲンの弾力を損なう反応。医学的には「終末糖化産物」といいます。 | 糖化検査による評価、食事・調理法の指導、1F保険診療での血糖・HbA1c評価との連携 |
| 酸化ストレス | 活性酸素により細胞やコラーゲンが傷つく反応。紫外線・喫煙・睡眠不足で増えます。 | 高濃度ビタミンC点滴、グルタチオン点滴(白玉点滴)、医療用日焼け止めの指導 |
| 代謝・栄養 | エネルギー産生の効率低下、鉄・ビタミンB群などの不足。疲労感や肌の再生力に影響します。 | マイヤーズカクテル点滴、L-カルニチン、プラセンタ療法、血液検査に基づく栄養補正 |
1F(保険診療)と2F(自由診療)の連携が当院の強みです
当院は1F(保険診療:内科・小児科ほか)と2F(自由診療:美容皮膚科・アンチエイジング外来)が同じビル内にあります。保険診療の検査結果(血糖・HbA1c・脂質・肝腎機能など)を踏まえて自由診療を組み立てる、あるいは生活習慣病治療と並行してアンチエイジング外来に通っていただくなど、シームレスな連携が可能です。両方の診療を同日に受けることも、それぞれを別日に分けることも、ご希望に合わせて調整いたします。
理事長・五藤良将は、日本抗加齢医学会専門医のほか、日本内科学会認定内科医、日本温泉気候物理医学会温泉療法専門医、産業医、健康スポーツ医、日本美容内科学会評議員、点滴療法研究会・高濃度ビタミンC点滴療法認定医など、複数の関連領域の認定資格を保有しています。内科専門医として全身を診る視点と、抗加齢医学・美容内科の知見を組み合わせ、患者さま一人ひとりに合わせた治療計画をご提案しています。
6. ご提案しているプログラム例
いずれも自由診療(自費)です。まずは検査で現在地を確認してから、無理のない範囲で組み立てることをお勧めしています。
| プログラム | こんな方に | 3か月の構成例 |
|---|---|---|
| エントリー | まず自分の状態を知りたい方 | VISIA肌診断・糖化検査/点滴 月2回/生活習慣シートによる振り返り |
| スタンダード | 疲労感と肌の変化を本格的に改善したい方 | 血液検査を含む評価/高濃度ビタミンC点滴 隔週/プラセンタ 週1回/栄養補正 |
| プレミアム | 3つの経路を徹底的に整えたい方 | フル検査パネル/高濃度ビタミンC点滴 週1回/グルタチオン点滴/L-カルニチン/定期的なVISIA再評価 |
※ 内容・回数はお一人おひとりの検査結果とご希望に合わせて調整します。料金は公式料金ページまたは受付にてご確認ください。
高濃度ビタミンC点滴を受ける前の必須検査・確認事項
- 50g以上の高用量を実施される方は、G6PD(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)活性の事前測定を当院では必須としています。G6PD欠損症の方が高用量ビタミンCを投与されると、急性溶血性貧血を起こすリスクがあるため、初回投与前に必ず検査を行います。
- 50g未満の用量で開始される場合も、安全性の観点からG6PD検査の実施を推奨しています。
- あわせて、腎機能(eGFR)、糖尿病の既往、心不全の有無、結石歴などを問診・血液検査で確認します。
- 妊娠中・授乳中、重度の腎機能障害がある方は実施できません。
7. よくあるご質問
Q1. アンチエイジング外来は何歳から始めるべきですか?
A. 「この年齢から」という決まりはありません。糖化や酸化は20代から少しずつ進み、5〜10年かけて肌や血管に蓄積していきます。当院では30代からの評価をお勧めしていますが、40代・50代からでも改善の余地は十分にあります。まずは検査で現在地を知ることから始めましょう。
Q2. 1回の点滴でも効果を実感できますか?
A. 疲労感の軽減など、初回から体感される方もいらっしゃいますが、感じ方には個人差があります。肌質や体調の変化を目指す場合は、導入期に週1回×4〜8回、その後は月1〜2回のメンテナンスという進め方が一般的です。効果を保証するものではない点は、あらかじめご理解ください。
Q3. 痛みや副作用はありますか?
A. 点滴は採血と同程度の針の痛みがあります。まれに血管痛、気分不良、注射部位の内出血などが起こることがあります。プラセンタ療法では、ヒト胎盤由来の生物学的製剤であるため、治療を受けた方は献血ができなくなります(安全側に立った措置です)。事前に必ずご説明し、同意書のご記入をいただいてから開始します。
Q4. 妊娠中・授乳中でも受けられますか?
A. 妊娠中・授乳中の方には、原則として高濃度ビタミンC点滴・グルタチオン点滴・L-カルニチン点滴・プラセンタ療法はお勧めしておりません。安全性のデータが十分でないためです。栄養補正・スキンケア指導など、安全性が確認されている範囲でできるサポートをご提案します。
Q5. 保険診療と一緒に受けられますか?
A. 可能です。当院は1Fで保険診療(内科・小児科ほか)、2Fで自由診療を行っており、同日に両方を受けることも、別日に分けることもできます。ただし保険診療と自由診療は会計を分けて算定します。生活習慣病で通院中の方が、その検査データを活かしてアンチエイジング外来を併用されるケースも多くあります。
Q6. 男性も受けられますか?
A. もちろんです。糖化・酸化・代謝低下は性別を問わず進む現象であり、男性のほうがメタボリックシンドローム・血管老化のリスクは高い傾向にあります。経営者・幹部の方々のメンテナンス目的でのご利用も多く、出張前後の疲労回復、健康診断の数値改善、見た目の若々しさの維持など、男性ならではのお悩みにも対応しています。今回の学会でも「男性美容」のシンポジウムが独立して組まれており、ニーズの広がりを実感しました。
Q7. 予約はどのようにすればよいですか?
A. アンチエイジング外来は完全予約制です。前日までのご予約はWEB予約、当日はCLINICSからご予約いただけます。LINE・お電話(03-6432-5656)でも承ります。初診の方は問診とご相談にお時間をいただきますので、余裕をもってご来院ください。
最後に ― 理事長からひとこと
学会に出るたびに思うのは、「新しいものを追うこと」と「確かなものを守ること」は両輪だということです。セノリティクスのような最先端の話に胸を躍らせながらも、診察室に戻れば、私がお伝えするのは睡眠・食事・紫外線対策といった地味な話が中心です。けれども、その地味な積み重ねこそが10年後の差になります。
アンチエイジング医療は、特別な人だけのものではなく、これからの人生を「いきいきと、自分らしく」過ごしていくためのインフラだと考えています。10年後、20年後の自分にプレゼントするつもりで、まずは検査から始めてみませんか。患者さま一人ひとりの背景・価値観・ライフスタイルに合わせた、無理のない継続可能なプログラムを、日本抗加齢医学会専門医として一緒に組み立てさせていただきます。
五良会クリニック白金高輪 理事長 五藤 良将
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医療法人社団五良会 五良会クリニック白金高輪 理事長 五藤 良将
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