皮下腫瘍「脂肪腫」とは?その原因と治療法を詳しく解説
脂肪腫(しぼうしゅ)は、皮下腫瘍(皮膚の下にできるできもの)の中でも最も一般的な良性腫瘍です。その名の通り、脂肪組織が過剰に増殖してできるもので、通常は痛みがなく、身体のどの部分にも発生する可能性があります。本記事では、脂肪腫の特徴、原因、診断法、治療法について分かりやすく解説します。
1. 脂肪腫の特徴
脂肪腫は、以下のような特徴があります。
- 柔らかく、弾力性がある塊:触るとゴムのような柔らかさがあり、押すと動くことが多いです。
- 大きさの変化:一般的に直径2~5cm程度ですが、大きいものでは10cmを超える場合もあります。
- 痛みがない:通常は痛みを伴いませんが、周囲の神経を圧迫する場合や、特定の動作で違和感を覚えることがあります。
- 発生部位:首、肩、背中、腕、太ももなど、脂肪の多い部分にできやすいです。
2. 脂肪腫ができる原因
脂肪腫の正確な原因はまだ解明されていません。しかし、以下のような要因が関与していると考えられています。
- 遺伝的要因:家族内で脂肪腫が見られる場合、遺伝的な影響が考えられます。
- 外傷や刺激:局所的な刺激や外傷がきっかけで脂肪腫が発生する場合があります。
- 代謝異常:脂肪細胞の増殖や分解に関連する代謝の乱れが関与している可能性もあります。
3. 脂肪腫の診断方法
脂肪腫は一般的に触診や視診で診断が可能ですが、他の疾患との区別のために以下の検査を行うことがあります。
- エコー検査(超音波検査):脂肪腫が脂肪組織から構成されているかを確認できます。
- CTやMRI検査:腫瘍の大きさや深さ、神経や筋肉との関係を詳細に評価します。
- 生検:極めて稀ですが、悪性腫瘍(脂肪肉腫)との区別が必要な場合に行われます。
4. 治療が必要な場合
脂肪腫は基本的に良性であり、健康へのリスクが低いため、治療の必要がないこともあります。しかし、以下の状況では治療を検討することがあります。
- 見た目が気になる:脂肪腫の大きさや位置が目立つ場合、審美的な理由で取り除きたいと考える人もいます。
- 痛みや不快感がある:神経を圧迫して痛みが出る場合や、動作に支障がある場合。
- 大きく成長している:急激にサイズが大きくなる場合、脂肪腫ではなく悪性腫瘍の可能性も考えられるため、早急な対応が必要です。
5. 治療法
脂肪腫の治療は主に外科的切除です。以下に、治療の流れを説明します。
(1) デザイン
外来で局所麻酔を使用して行う場合が多く、比較的短時間(15分~45分程度)で完了します。脂肪腫を完全に取り除くことで再発の可能性を減らします。
(2)皮膚切開、摘出
できるだけ傷跡を短くするように配慮して、皮膚切開を行います。皮膚を挫滅もできるだけ避け、腫瘍を摘出します。
(3) 傷跡
切除後は小さな傷跡が残る可能性がありますが、形成外科的な技術を用いることで目立たない仕上がりを目指します。
手術直後↓
テープでしっかり保護します。
一か月後↓
6. 脂肪腫の予防とセルフケア
脂肪腫の予防法は明確にはありませんが、以下の点に注意することで早期発見や悪化の防止につながる場合があります。
- 身体を定期的に観察:皮膚に新たな塊や変化を感じたら早めに医師に相談しましょう。
- 健康的な生活習慣:適度な運動やバランスの取れた食事で、脂肪代謝を整えることも役立つ可能性があります。
7. 脂肪腫と間違いやすい疾患
脂肪腫に似た症状を示す疾患もあります。特に以下の疾患とは区別が必要です。
- 脂肪肉腫:悪性腫瘍である脂肪肉腫は、脂肪腫に似ていますが、増殖が早く、痛みを伴うことが多いです。
- 粉瘤(ふんりゅう):皮脂腺にできる腫瘍で、炎症や膿を伴うことがあります。
これらの疾患の可能性が疑われる場合は、専門医による診断を受けることが重要です。
まとめ
脂肪腫は一般的な良性腫瘍で、多くの場合は無害です。しかし、大きくなったり痛みを伴ったりする場合には、形成外科や皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることが勧められます。外科的切除は安全で、見た目の改善にもつながるため、悩みがある方はぜひ当院専門医に相談してみてください。