原発性手掌多汗症に関するWebセミナーで発表しました!
2024年11月21日、久光製薬株式会社本社で開催された「原発性手掌多汗症Webセミナー」で、私は「内科医としての手掌多汗症診療 ~啓発から治療まで~」をテーマに講演を行いました。
新しい治療法「アポハイドローション20%」について
講演の中では、特に「アポハイドローション20%」に焦点を当て、その有効性や使用方法について詳しく解説しました。この外用薬は、原発性手掌多汗症の治療に画期的な進展をもたらす治療法として注目されています。
有効成分:オキシブチニン塩酸塩
オキシブチニンは、エクリン汗腺に存在するムスカリンM₃受容体に結合し、抗コリン作用を発揮することで発汗を抑制します。この作用機序により、手掌部の過剰な発汗を効果的に抑えることが期待されています。J-STAGE
使用方法
1日1回、就寝前に適量を両手のひら全体に塗布し、翌朝に流水で洗い流します。この簡便な使用方法により、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。J-STAGE
臨床試験結果
国内で実施された第III相臨床試験では、アポハイド®ローション20%の有効性と安全性が検討されました。この試験では、原発性手掌多汗症患者を対象に、4週間の使用後に発汗量がベースラインから50%以上減少した患者の割合(レスポンダー率)を主要評価項目として設定しました。結果として、アポハイド®ローション20%群では52.8%の患者がレスポンダーとなり、プラセボ群の24.3%と比較して有意に高い効果が確認されました(群間差:28.5%;P<0.001)。J-STAGE
安全性
主な副作用として、適用部位の皮膚炎やそう痒感、口渇などが報告されていますが、これらの多くは軽度であり、忍容性は良好とされています。また、52週間の長期投与試験においても効果の減弱は認められず、有害事象により治療を中止した患者は少数(2/125例)でした。J-STAGE
これらの結果から、アポハイド®ローション20%は原発性手掌多汗症の患者に対し、新たな有効で安全な治療オプションを提供できると考えられます。
このように、アポハイドローションは、多汗症の治療において患者さんの生活を大きく改善できる可能性があります。特に外用薬であるため、全身性の副作用が少ない点も大きな利点です。
今後も、多汗症患者の方々が適切な治療を受けられるよう、啓発活動と医療提供を継続してまいります。ご意見やご質問、取材依頼がございましたら、ぜひお問い合わせフォームでお知らせください!